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事業会社のWeb戦略(4) 顧客像の行動を想定する

顧客像であるペルソナを設定したら、実際にそのペルソナが何を考え、どのように行動するのかを考察します。

顧客の行動を把握することで、プロモーションの狙いを明確にすることが出来るようになります。今回は、顧客行動を考えるうえで役に立つフレームワークや、顧客行動を図化したカスタマージャーニーについて、ご紹介させていただきます。

顧客像の行動を想定する

顧客行動のモデルをつくる

具体的な顧客像が定まったら、当社ではその顧客が商品やサービスを購入するまでの行動や思考をモデル化していきます。

ニーズが顕在化してから情報収集・比較検討を経て購入にいたるまでの購買行動を、ペルソナがどのように行動し、その時の思考はどのようなものなのかを考えていきます。また、同時にペルソナが接触するメディアについても明確にしていきます。

ペルソナの行動をモデル化することで、顧客へのアプローチのタイミングや訴求すべき内容を把握することが出来ます。

顧客行動モデル作成の注意点

ペルソナの作成と同様に、担当者の思い込みや希望的観測から誤った行動モデルを作ってしまうケースがあります。実際の行動と乖離している場合、成果に大きく影響してしまいますので注意が必要です。

また、リサーチ不足や経験不足によって具体性が欠如してしまうケースもあるため、さまざまな角度から抜け・漏れがないかを確認・検証することが大切です。

顧客行動モデルの作成に役立つフレームワーク

ペルソナの行動をモデル化する際に役に立ついくつかのフレームワークをご紹介させていただきます。これらのフレームワークをいくつか組みあわせてモデル化するケースがよくあります。

マーケティングファネル

購入までの過程を段階的に表すとともに、各段階の市場規模を示したフレームワークとなっています。マーケティングファネルにはおおきく3つの形があります。

パーチェスファネル

マーケティングファネルの中でもよく使われるパチェスファネルは、上から下に顧客行動が進んでいきます。

パチェスファネルは逆三角形のファネル(ろうと)の形が特徴的で、AIDA(アイダ)モデルの発展形として図化されたものです。

初期段階の認知(Attention)は最も対象人数が多く、「興味(Interest)」を持ち「欲しい(Desire)」と感じて購入(Action)まで、各段階でだんだんと対象人数が少なくなる様子を逆三角形で表しています。

Webマーケティングのプラン作りとして、各段階の母数を広げるWebマーケティング施策や、各段階を分析し離脱の要因を改善するための施策などが考えられます。

パーチェスファネル

インフルエンスファネル

購入後の行動を表すインフルエンスファネルも上から下に顧客行動が進みますが、形はパチェスファネルとは逆、普通の三角形の形をしています。

インフルエンスファネルは顧客の利用満足度が高ければ購入後も継続利用し、その顧客が新しい顧客を紹介し、さらにはポジティブな情報発信をすることで広範囲の新規顧客へ伝わる仕組みを表しています。

商品やサービスの満足度が高ければ、Webマーケティングのプランとして、アプリ会員への継続利用促進の仕組み作りや紹介キャンペーン・リピート割引などの施策を考える事が出来ます。

インフルエンスファネル

ダブルファネル

ダブルファネルはパーチェスファネルとインフルエンスファネルを組み合わせた図となっています。顧客が認知から購入と購入から情報発信までを表しています。

顧客行動を成約前と成約後を別々に考えるのではなく、初期接点の段階からファンとなり情報発信してもらえるよう、顧客行動を一連の流れとして捉えた図になっています。

インフルエンスファネル

AIDMA (アイドマ)

 aidma

AIDMA(アイドマ)は代表的な購買行動モデルのひとつです。
商品やサービスを購入するまでのプロセスを、Attention(注意)→ Interest(関心)→ Desire(欲求)→ Memory(記憶)→ Action(行動)の5つの段階にわけ、それぞれの頭文字を取ったものになります。

各段階において、顧客がとる行動や接点となるWebメディアは異なるため、プラン作りにおいてはそれぞれの段階にあわせて発信するWebメディアを選定し、同時に発信内容を最適化することが重要になってきます。

AIDA (アイダ)

 aida

AIDA(アイダ)モデルはAIDMA(アイドマ)からMemory(記憶)を無くしたモデルとなっており、AIDMA(アイドマ)同様に代表的な購買行動モデルのひとつです。

商品やサービスを購入するまでのプロセスを、Attention(注意)→ Interest(関心)→ Desire(欲求)→ Action(行動)の4つにわけ、それぞれの頭文字を取ったものになります。AIDMAからMemory(記憶)のステップがなく、「欲しくなったらすぐに購入する」購買モデルとなっています。

夕食の買い物にスーパーに行き、白菜が安くなっていたから新商品の鍋スープを買う。 ECサイトで関連商品に出てきたものを思わず欲しくなり買ってしまった。などの購買行動がAIDAモデルにあてはまります。

AISAS(アイサス)

 aisas

AISAS(アイサス)は、インターネットによる情報収集が一般的となってから提唱された購買行動モデルです。

AIDMAやAIDAは企業が発信した情報を受け取る受動的な側面が強くなっていましたが、AISASでは顧客自らが検索や共有といった行動をおこす能動的な側面が強くなっている点が大きな特徴です。

商品やサービスを購入するまでのプロセスを、Attention(注意)→ Interest(関心)→ Search(検索)→ Action(行動)→Share(共有)の段階にわけて考えられています。

VISAS (ヴィサス)

 visas

VISAS (ヴィサス)はSNSや口コミなど消費者が発信する情報に影響をあたえられることを前提とした購買行動モデルとなっています。

Viral(口コミ)→ Influence(影響)→ Sympathy(共感)→ Action(行動)→Share(共有)の流れとなり、Share(共有)された情報は再びViral(口コミ)に影響をあたえます。

一連の顧客体験がより良いものであれば行動後にシェアされ、次の新たな顧客体験に組み込まれるモデルとなっているため、このモデルにおけるプラン作りは商品やサービスの品質だけでなく、購入にいたるまでの顧客体験や商品・サービスのストーリーなども重要になってきます。

SIPS(シップス)

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SIPS(シップス)は、VISAS (ヴィサス)と同様にSNSを利用することを前提としたモデルですが、他の購買行動モデルと異なりAction(行動)がありません。

つまり、行動で参加はするが購入はしない。たとえばSNSにおいて「シェア」や「いいね」で拡散はするが購入しないプロセスを表しています。

SIPS(シップス)は、Sympathize(共感)→ Identify(確認) → Participate(参加) → Share & Spread(共有 & 拡散)の頭文字からきています。

その他のフレームワーク

AIDMA(アイドマ)をベースに顧客が購入後に評価するプロセスなどを加えたAIDCAS(アイドカス)やAISAS(アイサス)をベースに商品の比較検討段階を加えたAISCEAS(アイシーズ)、顧客の意思決定の瞬間の経験・体験を表すZMOT/FMOT/SMOT/TMOTからなるMOT(モット)、ネットだけで完結する購買行動モデルで複数の検索プロセスを含んだULSSAS(ウルサス)やコンテンツマーケティングにおける取組をモデル化したDECAX(デキャックス)など、顧客行動の多様化によってさまざまなフレームワークが出てきています。

自社の顧客行動モデルをつくる

近年インターネットやSNSの普及により、ネットで商品やサービスを探すだけでなく、消費者が自身の体験を発信したり、消費者自身で評価をつけたり、消費者同士での情報共有も可能になりました。

多様化する顧客行動にあわせて、さまざまなフレームワークが出てきています。しかし、フレームワークは共通化された顧客行動モデルではありますが万能ではありません。

当社では、これらの顧客行動のフレームワークを組み合わせたり、独自で把握している顧客行動を組み合わせながら、独自の顧客行動モデルをつくることも重要であると考えています。

カスタマージャーニーを把握する

カスタマージャーニーとは

カスタマージャーニーとは直訳すると「顧客の旅」です。

顧客に課題が生まれ、それを解消するために情報を収集し、解決するために商品やサービスを探し、比較検討を経て実際に利用するまでの道筋をカスタマージャーニーといいます。

カスタマージャーニーを作ることで、顧客への理解が深くなるとともに、顧客目線で着想をえることが出来るようになります。

カスタマージャーニーマップで可視化する

顧客が購入するまでの道筋をたどるときに起こす行動を段階別にわけ、段階ごとにおこす行動・思考・意思決定の動機などを図として可視化したものをカスタマージャーニーマップといいます。

カスタマージャーニーマップは作り手によって記載内容や手順は異なっていますが、当社の作成手順は以下の通りとなっています。

1.行動をフェーズ(段階)にわける

自社商品やサービスの顧客行動にあわせて、一連の購買行動を段階にわけていきます。ここでは先に紹介したフレームワークを使用するケースが多々あります。

たとえばAISASを基本とする場合、比較検討をくわえた6つの段階に分けられます。
「興味をもつ」「関心を寄せる」「情報収集(検索する」「比較検討する」「購入する」「共有する」

2.顧客行動を考察する

各フェーズごとにどのような顧客行動をおこなっているのかを考察します。

たとえば「興味をもつ」段階であれば、「困ったことがある」「TVで見ていいなと思った」「友人から話を聞いた」など、起こったことを明確にしていきます。

3.タッチポイントを考察する

次に、その行動をおこなった時に接点となるタッチポイントがあるのかどうかを明確にしていきます。

たとえば「興味をもつ」段階であれば「TV番組/TV-CM」「Web広告/SNS広告」「フォロワーのSNS」「チラシ/雑誌の特集」など、行動を起こしたときに接点を得る可能性のあるものをピックアップしていきます。

4.思考を推察する

次に、どんな思考で行動を起こしたのかを推察します。

たとえば「友人がおこなっていたのをみて興味がわいた」場合、いつから始めたのだろう。効果はどうだっただろう。自分でも出来るのだろうか。など色々な思考が湧いてくると思います。

5.感情を明確にする

次に、思考に対して生まれるポジティブな感情・ネガティブな感情・またその時の悩みや課題を明確にしていきます。

たとえば「友人がおこなっていたけど、効果はどうだったのだろう」に対して、ポジティブな感情としては「自分もはじめてみたいな」ネガティブな感情としては「効果がなかったら嫌だな」などがあるかもしれません。これらの感情は複数ある可能性があります。

6.意思決定ポイントを考察する

最後に次のステップへ進むために必要なポイント、意思決定をおこなうポイントを考察していきます。

たとえば「興味をもつ」から「関心を寄せる」へのステップアップとして、「〇〇に悩んでいた方が商品名を覚えることで商品自体に関心を寄せる」ケースがあります。〇〇には転職・日焼け・料理の味付けなどさまざまなものが当てはまります。

この場合、次へのステップは「商品名を覚えた」であり、そのための取り組みとして認知獲得施策が重要になってきます。

カスタマージャーニーの運用ポイント

カスタマージャーニーは顧客行動分析やペルソナ設計と同様に、下記の注意点があります。
① 担当者の思い込みや希望的観測が入らないようにする
② 時代によって消費者行動は変化するため定期的に見直す

顧客行動やペルソナの見直しにあわせて、カスタマージャーニーも見直す必要が出てきます。

顧客行動にあわせたWebマーケティングプランづくり

フレームワークなどを活用し、顧客行動を理解した上でつくられたカスタマージャーニーは、Webマーケティングのプラン作りにとても役に立ちます。

興味から関心へのステップアップとして例に挙げた「商品名を覚える」と「そのための認知獲得施策」。たとえば、認知獲得施策としてSNSを活用した情報発信は、知ってもらうきっかけづくりにとても有用です。

利用しているユーザーから、コメントやいいねなどの接点を得ることが出来るほか、それを見ていた興味段階のユーザーが関心段階へステップアップするきっかけになるかもしれません。

このように、カスタマージャーニーマップのタッチポイントに対して、意思決定を促す情報発信をおこなうことがWebマーケティングのプラン作りの基本となってきます。

まとめ

顧客行動を把握することは、商品やサービスのプロモーションにおいてとても重要になってきます。また、行動のきっかけとなるポイントや、行動原理となる思考や感情を考察することで、的確なアプローチをおこなうことが出来るようになります。

Webマーケティングやホームページ制作やSNS運用も、マーケティング同様に顧客を知ることからはじめることが重要です。

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