事業会社のWeb戦略(5) Webマーケティングの施策プランを考える
- 2024年7月9日
事業会社のWeb戦略
- (1)企業が取り組むWebマーケティングについて
- (2) 市場を分析し把握する
- (3) ターゲットとなる顧客を明確にする
- (4) 具体的なマーケティングプラン作り
- (5)Webマーケティングの施策プランを考える
分析をおこなった上で顧客行動の把握を前回までに簡単にご紹介させていただきました。次に行うのがWebマーケティングとして何をおこなうのか、そのプラン作りです。
まず、当社でWebマーケティングのプランを考えさせていただくとき、実際にはいろいろな角度から考えるようにしています。今回は、当社でおこなうプラン作りのいくつかの取り組み方について簡単にご紹介させていただきます。
1.顧客行動モデルからプランを考える
まずは前回の記事でご紹介させていただきました、顧客行動モデルのフレームワークを利用したWebマーケティングプランの作成例をご紹介させていただきます。
この中から、今回はAISASモデルでのプラン作り例をご紹介させていただきます。
AISASモデルにそったプラン作り例
Attention(注意)してもらえる取り組みをおこなう
まずは知ってもらうこと、ユーザーとの接点を得る事が何より重要です。ホームページもSNSも見てもらえなければ効果を得ることは出来ません。
Attention(注意)では目にしてもらう機会を得る取り組み、接点を得る取り組みを考えます。
取り組み例
- 商品の魅力やサービスの使用例などをSNSで発信する
- 繁忙期に合わせてWeb広告で集客力を強化する
- 込み合う時間である最繁時にあわせてお得な情報を発信する
- イベントを開催し集客のために情報を発信する
- お役立ち情報やコラムで検討段階のユーザーへの情報を発信する
Interest(関心)を引く取り組みをおこなう
接点を得えて終わりではなく、そのユーザーが関心(Interest)を引く情報を訴求するようにします。
たとえば、繁忙期の集客やお役立ち情報などのコラムにおいては、「How to=どのようにするのか」を明確にした情報を発信する。SNSやECサイトでは、興味を引く魅力的な写真素材を用意するなどがあります。
取り組み例
- 広告用の特設ページを用意して訴求力を高める
- ユーザーの疑問や課題を解決する方法をコラムで発信する
- ユーザーの疑問に答えるセミナーやウェビナーを企画する
- SNSで魅力的なコンテンツ(画像・文章・動画)を発信する
- 商品やサービスの独自性を様々なチャネルで発信する
Search(検索)ニーズにこたえる取り組みを考える
Search(検索)では、主にユーザーの検索行動にあわせた集客施策をおこないます。
なお、現在ユーザーの情報収集方法はGoogleやYahooなどの検索だけではありません。
InstagramやYouTubeやX(Twitter)などのSNSやGoogleマップなどの地図検索やスマホのアプリなど様々な方法で検索行動は行われていますので、それらを意識した取り組みが重要になります。
取り組み例
- SEOでホームページへの集客を強化する
- Web広告でホームページやSNSへの集客を強化する
- SNSによる情報発信を強化しリーチ獲得を強化する
- 顧客リストにメルマガなどを配信し再訪問を促す
- コラムやお役立ち情報を強化して集客拡大を図る
- ポータルサイトなどへの掲載で外部サイトからの流入拡大を図る
Share(情報共有)したくなる取り組みを考える
Share(情報共有)の取り組みでは、成約や購入をした顧客に対して情報拡散を促し、さらなる見込み客の獲得を図ります。
Share(情報共有)の取り組みは、サービスや商品の利用に対しての顧客満足度が高いことが前提になります。
利用者がポジティブな意見や感想を投稿し、それが情報収集している検討層に届くことで購入動機につながるため、Webマーケティング施策と同時に接客などの顧客対応を含めたサービスや商品の質の向上が重要になります。
取り組み例
- 顧客紹介キャンペーンの実施
- SNSフォロー獲得キャンペーンの実施
- SNS連動型キャンペーンの実施
- オンラインで送れるギフト券などのクーポンの発行
2.目的となる顧客行動(コンバージョン)から逆算して考える
2つ目のプラン作りの例では、ユーザーにとって欲しい行動から逆算して考える方法をご紹介させていただきます。
Webマーケティングの取り組みをおこなう場合、顧客にどのような行動をとってほしいのか、目的となる顧客行動があると思います。
たとえば「資料請求」「お問い合わせ」「商品の購入」などが該当します。
これらの目的となる顧客行動をコンバージョンといい、今回はコンバージョンを獲得するためにどのような取り組みを行うのか、についてご紹介させていただきます。
4つのポイント
当社では、まずは目的である「どうしてもらいたい」のかを考える。そしてそれを達成するために「どこでする」「何をする」「どのようにする」するのかを明確にするようにしています。
「どこでする」「何をする」「どのようにする」その結果「どうしてもらいたい」を明確にすることで、具体的な施策を考える事ができます。
どこでする | Webメディア(ホームページ/SNS/メルマガなど) |
---|---|
何をする | 内容(サービス詳細/見栄えのいい画像/お役立ち情報など) |
どのようにする | 手段(クーポン/特典/メリット訴求など) |
どうしてもらいたい | アクション(お問い合わせ/フォロー/購入など) |
それぞれの項目ごとに考える
(1)「どうしてもらいたい」を考える
「どうしてもらいたい」では、取り組みの目的となる顧客行動を明確にします。また、可能であれば目標となる数(件数)も明確にしておくことで、取り組みの成果が分かります。
目的にはいくつかの種類があります。
当社でWebマーケティングをサポートさせていただく場合、具体的な目標件数の設定から取組んでいます。
目的 | 概要 | 目標設定の例 |
---|---|---|
お問い合わせ 来店予約 |
商品やサービスへのお問い合わせや来店予約、採用の応募など、多くのサイトでお問い合わせが目的として使用されています | お問い合わせ数・商談数・成約数などから、お問い合わせ1件あたりの成約率と見込みの売上額を算出し、目標売上から割ることで目標件数が出すことが出来ます |
資料請求 | 成約事例のダウンロードやカタログの取り寄せなどを目的とする場合に設定される目的となります | お問い合わせよりも成約率は一般的に低くなっていますが、お問い合わせと同じ方法で出すことが出来ます |
商品の購入 | ECサイトやオンラインショップでよく使用されている目標設定となります | 月の売上目標から成約単価を割った数が月の目標件数となります |
会員登録 | 利用促進や顧客との接点の獲得、トライアルの実施機会を得るために無料登録などを目的とするケースがあります | 目標会員数と実施期間から月の目標件数を出すことが出来ます。また、予算に対して1件当たりの獲得単価から算出する場合もあります |
アプリ ダウンロード |
スマホゲームやWebサービスでは、iPhoneやandroidアプリのダウンロードを目標とする場合がよくあります | 広告を出稿する場合は1件当たりの獲得単価を定める事が多く、その場合は広告予算で割った件数が目標件数となります |
SNSのフォロー | SNS上でおこなうキャンペーンや運用の指標として、フォロワー数を目標としている場合があります | 目標となるフォロー獲得数をあらかじめ決めておくケースが多いかと思います |
SNSのリアクション | キャンペーンの実施などにおいて、いいねなどの評価、リポスト数、コメント数などユーザーのリアクションを目標とするケースがよくあります | 目標となるリアクション数をあらかじめ決めておくケースが多いかと思います |
閲覧数 | 純粋な認知獲得において、閲覧数やページビュー数などを目標とする場合があります | 目標となる閲覧数をあらかじめ決めておくケースが多いかと思います |
(2)「どこでする」を考える
「どこでする」では取り組みをおこなうチャネルを考えます。
Webメディアにはホームページやソーシャルメディア(SNS)やメルマガなど、さまざまなものがありそれぞれ異なった特徴があります。
当社では、特徴を把握した上で「どこでする」のかを検討します
チャネル | 特徴 |
---|---|
自社サイト | 自社の商品やサービスの内容、企業情報、ニュースやお客様の声などを発信する自社サイト。自社でコントロールできるメディアであるため、オウンドメディア一つとなります |
ECサイト | ネットショップ・オンラインショップとも呼ばれ、商品をオンライン上で販売することが出来ます |
1次メディア | 1次メディアとは、自ら取材したものを発信するメディアを指します。新聞社のオンラインサイトやニュースサイトなどが該当します |
2次メディア | 2次メディアとは、1次メディアで発信された情報・ニュース・記事などを発信するメディアを指します。Yahoo!ニュースなどが該当します |
キュレーションメディア | 特定のテーマや題材にあわせて情報をあつめ、発信するメディアを指します。キュレーションメディアは2次メディアに該当します |
オウンドメディア | 企業などが自社で情報発信するために所有しているメディアをオウンドメディアといいます。自社サイトをはじめ、ブログやコラムなどが該当します |
ソーシャルメディア | ユーザー自らが情報発信をおこなえるほか、ユーザー同士のコミュニケーションをとることが出来るメディアを指します FacebookやInstagram、LINEやX(Twitter)などが該当します |
バイラルメディア | 拡散してもらうため「Buzz(バズ)」を意識した情報発信を行うメディアを指します |
(3)「何をする」を考える
「何をする」ではどのような情報を発信するのかを考えます。
それぞれのチャネルに対してどのような情報を発信するのかを明確にしていきます
チャネル | 施策概要 | 「何をする」の例 |
---|---|---|
自社サイト オウンドメディア |
集客増加 | 顧客が課題と感じていることを調査し、回答となるお役立ち記事を作成します |
お問合せ率向上 | 自社の強み・商品やサービスの特徴・取引の流れ・成果物や事例紹介など、ユーザーが欲しいと考える情報を充実させます | |
SNS | 画像・動画系 | SNS内での検索を意識した投稿や、魅力が伝わる・いいなと思える画像や動画の投稿をおこないます |
文字系 | わかりやすい文章の投稿や顧客とのコミュニケーションを意識した運用をおこないます | |
ECサイト | 集客増加 | SNSやメルマガなど他チャネルとの連携させ、他チャネルと連動した企画を実施します |
集客増加(トレンド) | 季節商品やトレンド商材などがある場合は、特集を組んで専用コンテンツを作成します | |
ページ改善 | レコメンド機能や関連商品検索など、探しやすくなるようページ改善をおこないます | |
その他:相談会 | セミナー ウェビナー |
ユーザーの疑問点の解消のため、セミナーやウェビナーを企画します |
その他:個別相談 | オンライン相談 チャット相談 |
ユーザーの抱える疑問や不明点解消のための相談窓口をオンライン上に用意します |
(4)「どのようにする」を考える
「どのようにする」では、頻度やタイミング、発信方法などを考えていきます。
チャネル | 施策概要 | 「どのようにする」の例 |
---|---|---|
自社サイト オウンドメディア |
お役立ち記事 | 月に2つ以上の記事を投稿する |
事例紹介 | お客様から承認を得たら更新をおこなう | |
SNS | 画像・動画系 | 週2回以上の投稿を心がける |
文字系 | 平日は毎日の投稿を心がける | |
ECサイト | SNSやメルマガ連動企画 | 月1回程度の特集や企画を実施する |
季節・イベント特集 | トレンドにあわせて特集や企画を実施する | |
その他:相談会 | セミナー ウェビナー |
年4回の開催を目指す |
その他:個別相談 | オンライン相談 チャット相談 |
体制を整え予約があればその都度対応する |
プラン作りの例
たとえば、経営しているお店の事を広く知ってもらうためにはホームページよりSNSの方が向いているため、目的を「①リアクションの獲得」を経て「②フォロー獲得」に繋げると設定するとします。
まず①リアクションの獲得のために「(どこで)Instagramで」「(何を)美味しそうな料理の写真を」「(どのように)頻繁にアップする」ことで興味を持ってもらいます。
次に②フォロー獲得のため、上記ユーザーが来店されたら卓上や周辺に公式アカウントフォローのフライヤーを置いたり、空き状況や本日のおすすめ、クーポン配布などフォローしたくなる運用を実施します。
これらは特に費用をかけることなく実施することが可能です。
計画を実践する
途中経過を把握するための指標を設定する
プラン作りが終わればそれを実践するのみとなります。
実践するとき、さまざまな指標をもけることで途中経過の状況や、効果測定での施策の状況を把握することが出来ます。
お問い合わせ数=総訪問数×お問合せ率
お問い合わせ数の計算は、サイトへの総訪問数×お問合せ率で計算できます。
つまり、お問い合わせ数を増やすには「訪問数を増やす」「お問合せ率を上げる」のどちらかが必要となり、それぞれの数字を計測することで「お問い合わせ数」を増やすことが出来ます。
たとえば、訪問数が1,000でお問い合わせが10件の場合、お問い合わせ率は1%です。このケースでお問い合わせを増やすなら以下のパターンがあります。
■現状
訪問数2,000×お問合せ率1%=お問い合わせ200件
■訪問数を増やす
訪問数2,000×お問合せ率1%=お問い合わせ200件
■お問い合わせ率を上げる
訪問数1,000×お問合せ率2%=お問い合わせ200件
しかし、せっかく訪問数が増えてもお問合せ率が下がればお問い合わせ数増に繋がりません。
■訪問数を増やしたがお問合せ率悪化
訪問数2,000×お問合せ率0.5%=お問い合わせ100件
このような状況になったとき、反響獲得よりもお問合せ率改善の取り組みをおこなうことでお問い合わせ増につながるケースが良くあります。
まずは目的となる数字を出し、それを達成するために関与している指標を計測し増減を把握しておくことで、具体的な改善案を作る事が出来るようになります。
まとめ
今回はプラン作りの例として2つの方法をご紹介させていただきました。
マーケティングで使用されているフレームワークは万能でないため、実際にお客様のビジネスにそった顧客行動かどうかを検証する必要がございます。
まずはお気軽にご相談ください。
事業会社のWeb戦略
- (1)企業が取り組むWebマーケティングについて
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- (3) ターゲットとなる顧客を明確にする
- (4) 具体的なマーケティングプラン作り
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