物件検索サイトのLPO、検索キーワードとランディングページの関係性について
不動産事業(家を買う)×WEBマーケティング
物件検索サイトは、一般的なWEBサイトと違って深い階層構造になっています。
今回は、物件検索サイトの階層構造の特性と、各ページごとのSEO対策とLPOについてまとめさせていただきました。
物件検索サイトの階層構造について
物件詳細ページにたどり着くまでのページ動線
不動産ポータルサイトや物件検索サイトにおいて、ユーザーが「種別選択画面」から「物件詳細ページ」にたどり着くまでには、複数のページを経由する必要があります。
具体的な物件詳細ページまでに経由するページは以下の通りです
- 物件種別の選択画面(新築マンション・中古戸建て・土地など)
- 都道府県を選択画面(東京都・神奈川県・埼玉県…など)
- 市区を選択画面(千代田区・中央区・港区…など)
- 物件一覧ページ(対象市区×種別の物件情報一覧)
- 物件詳細ページ(物件情報)
上記のように、トップページから物件詳細へたどり着くためには、少なくとも5つのページを経由する必要があります。もしこれが「沿線・駅で探す」や「町名で絞り込む」まで行った場合、さらに経由するページは増えることになります。
また、ポータルサイトや大手不動産会社の場合、SEO対策としてこれらのページは階層構造になっています。
SUUMOの例
1.[トップページ] https://suumo.jp/kanto/
2.[都道府県選択] https://suumo.jp/ms/chuko/kanto/
3.[市区選択 ] https://suumo.jp/ms/chuko/tokyo/city/
4.[物件一覧 ] https://suumo.jp/ms/chuko/tokyo/sc_chiyoda/
5.[物件詳細 ] https://suumo.jp/ms/chuko/tokyo/sc_chiyoda/nc_77177789/
どのような階層構造にするのかは企業次第となっています。
各企業のディレクトリ構造がどのようになっているのかは、下記ページに取りまとめております。
大手不動産仲介の物件検索サイトのディレクトリ構造について
https://umber-jp.com/web-mktg-realestate/directory_structure/
トップページから物件詳細ページへ遷移するケースは少ない
トップページから物件詳細へは、少なくとも5つのページを経由する必要がある。と明記しましたが、
これは、あくまでトップページからスタートした場合になります。一般的に、物件探しのユーザーはトップページから訪問しないことが多く、トップページからの訪問ケースは限られています。
なぜなら、家探しの検索キーワードは「中古マンション 〇〇区」や「一戸建て 3LDK」などで検索されるため、基本的に市区選択や物件一覧からの訪問が多くなります。
実際にユーザーがトップページから訪問するケース
- 企業名やブランド名で検索した場合
- 広告をクリックして遷移した場合
- ポータルサイト等からのリンクをクリックした場合
物件探しユーザーの検索行動について
物件探しユーザーの検索キーワードと訪問されるランディングページ
実際に物件探しをおこなうユーザーは「中古マンション 〇〇区」や「中古一戸建て 3LDK」など具体的なキーワードで検索しています。。
そして、このような検索に対しては、トップページではなく、物件詳細ページにたどり着くまでに経由されている「都道府県選択ページ」「市区選択ページ」「市区の物件一覧ページ」などが上位に表示されています。
また、「中古マンション 東京」「中古マンション 東京都中央区」「中古マンション 東京都中央区勝どき」「中古マンション 東京都中央区 3LDK」「中古マンション 東京都中央区 5000万円未満」では、表示される検索結果がことなります。
つまり、物件詳細ページまでに経由する各階層のページはランディングページになる可能性があり、検索キーワードごとにその対象となるページは異なります。
この検索キーワードとランディングページの関係を把握することはSEO対策をおこなう上でとても重要になります。
ランディングページが適切でないと次のページに進まない
検索キーワードごとに、訪問されるランディングページは異なります。
また、物件検索においては各階層のページが別々のキーワードのランディングページになります。
そのため、各階層のページが検索意図とマッチしていないと離脱されてしまいます。
そこで、以下にて物件検索サイトにおけるページごとのSEO対象キーワードと、LPO(ランディングページ最適化)のポイントを整理いたしました。
階層ごとのSEO対象キーワードと検索意図について
(1)トップページ・物件種別の選択画面
企業名・サービス名で検索した時に遷移されやすいページとなります。
物件購入希望の方だけでなく、売却希望の方や店舗へのアクセスを調べる方、リクルートなどのケースもあるため、それぞれにわかりやすい画面設計にしておくことが重要です。
(2)都道府県の選択ページ(種別トップ)
・ページの特徴
マンションや新築戸建て・中古戸建・土地などのトップページとなり、都道府県を選択するページです。探し方は「エリアから探す」「沿線・駅から探す」の2通りあることが一般的で、近年は「地図から探す」などもあります。
・対象キーワード
「マンション」「中古一戸建て」「土地」
「マンション 企業名」「中古一戸建て 企業名」「土地 企業名」
「マンション 購入 不動産」「中古一戸建て 購入 不動産」「土地 購入 不動産」
・検索意図・対象キーワードの特徴
物件種別だけの検索は検索ニーズが明確に把握できません。
対象キーワードの特徴として、検索ブラウザで位置情報がセットされている場合、「マンション」「中古一戸建て」など種別単体で検索したとしても、「〇〇県のマンション一覧」「○○県の中古一戸建て」など、セットされた位置情報の都道府県名をかけあせた検索結果が表示されます。
・LPOの方針
インデックスページとして多様なページへのリンクを設け、ユーザーに選択肢を提示することが重要です。
(3)市区の選択ページ、沿線・駅の選択ページ(種別×都道府県)
・ページの特徴
市区の物件一覧のリンク、もしくは沿線・駅の物件一覧のリンクが表示されており、対象物件の件数表示があるとわかりやすいです。また、価格や間取りや駅徒歩分、面積や物件情報・設備など検索条件絞り込み機能が同一ページ内にあるとより便利です。
・対象キーワード
「東京都 新築マンション」 「神奈川県 マンション」 「大阪 新築 戸建て」
・検索意図・対象キーワードの特徴
この ページへ遷移する検索キーワードの特徴は、物件探しを始めたばかりの段階に多く見られます。
たとえば、「東京都 新築マンション」などで検索する場合、物件探しに対してまだ明確な条件設定がないため、大まかなキーワードで検索をし、とりあえず物件数をみたいと考えている場合があります。
なお、サイト内で物件情報を検索するときには有益なページですが、検索結果では物件一覧が優先して出てしまうため、ランディングページにはなりにくいページでもあります。
・LPOの方針
このページへ訪問した場合、お問い合わせまでの距離が遠いため、検索方法(エリア検索or沿線・駅)検索のリンク設置はもちろんですが、離脱させずに次への遷移を誘導する工夫が必要になってきます。
たとえば駅や市区の人気ランキングなど、ユーザーの需要が高い物件一覧へのリンク設置は効果的です。
(4)物件一覧ページ(市区×種別の物件情報一覧)
・ページの特徴
物件の並び順を変える・表示件数を変えるなどの機能や、価格・間取り・駅徒歩・築年月・面積などで絞り込む機能などがあると、より使いやすくなります。
一方で画像が大量に表示されるため、ページ読み込み速度をあげるために遅延ローディングなどの処理も重要になります。
・対象キーワード
「杉並区 中古一戸建て」「八王子市 中古マンション 3LDK」「大阪市平野区 中古戸建 3000万円」
・検索意図・対象キーワードの特徴
このページへ遷移するこの検索キーワードの特徴は、物件条件が絞り込まれていることも多く、希望条件が明確になったときの検索で使用されます。
ここで使用される検索キーワードは、「市区名」「駅名」などのエリア情報に「物件種別」「価格」「間取り」「設備」「駅徒歩」「築年月」など様々なキーワードが掛け合わせられるため、検索パターンも多岐にわたります。
・LPOの方針
物件一覧ページに訪問したユーザーが、ひと通り物件を見終わった後、別の物件探しを継続できるよう同階層への遷移動線を設置などの対策をおこなうことで回遊性は高まります。
また、絞り込み機能によって多岐にわたる検索パターンに対し、動的にページを生成する機能とは別に、検索エンジンに対してインデックスさせるページを用意するかどうかもポイントの一つになるかと思います。
(5)物件詳細ページ(物件情報)
・ページの特徴
物件写真・詳細・周辺情報などが掲載された物件詳細ページです。
・対象キーワード
「○○ハイツ」 「第一○○マンション 3LDK」
・検索意図・対象キーワードの特徴
特定のマンション名の指名検索になるため、反響の確度は高いユーザーとなっています。検索キーワードの特徴として1キーワードあたりの検索ボリュームは少ないです。
しかし、ロングテールSEOのようにマンション名で検索するユーザーをトータルすると一定量存在しており、トータルの検索ボリュームは決して少なくありません。
・LPOの方針
物件詳細ページへ初回訪問したユーザーが、物件情報を見終わったときに離脱しないよう、別の物件の提示や別ページへの遷移を促すことが重要になります。
また、掲載終了した場合やマンションに売り出し物件がない場合の対策も検討しておくとよいかと思います。
検索意図を理解し「情報の最適化」と「動線の最適化」をおこなう
物件検索サイトでは、ユーザーの検索キーワードによって、その人が「今どんな段階にいるのか」「どんな情報を求めているのか」が大きく異なります。
また、ページを閲覧し終わったあと、満足する情報が無かった場合の離脱防止も回遊性を高めるポイントになります。
- 検討初期のユーザーには、ダイレクトに物件一覧へ遷移できる選択肢を提供する
- 条件が固まってきたユーザーには、目的に合致した物件一覧へ誘導する
- 明確な物件名で訪問するユーザーに、閲覧後の類似物件の提案する
まとめ:物件検索サイトのLPO、検索キーワードとランディングページの関係性について
SEOとLPOはセットで考える時代へ
検索キーワードは検索意図をあらわしているため、着地ページであるランディングページとは密接にかかわってきます。
階層ごとに対象キーワードが異なるということは、階層ごとに訪問ユーザーの知識レベルや検索ニーズが異なるということです。
SEO対策とLPO対策をセットで考え、階層ごとに個別に設計し、それぞれのページ訪問を起点とした誘導動線を設計することで快適な検索体験を提供することができ、その積み重ねがコンバージョンに繋がると考えています。